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氷華血鎖【鳴門】

第18章 一部・逢引


『んじゃまぁ…お部屋の改造でもしましょうかねぇ』

一同「!」



身体を伸ばしてから立ち上がると赤い双眼と獣的な双眼と目が合って気付く。二人の事すっかり忘れてた。



『えーと…そう言えばお二人は何故此処へ?』

「前に…寄ると約束した、から…」

「…らしいですよ」



ふい、と視線を逸らしながら言うイタチさんにきゅっと胸が詰まる。え、やだ何これ。男性に言うのは失礼かも知れないけどすっごく可愛いんだけど。



『「………」』

「おやおや…」

「ねえ!二人は今からお仕事!?」

「一応、尾じゅ…じゃなくて動物の居場所を調査する任はありますが急ぎでは無いですよね?」

「じゃあ鬼鮫のおじちゃん、修行付けてよ!」

「おじ…!?」

「「ね?お願い」」



何を思ったのか喧嘩してたハズの二人は息ぴったりに鬼鮫さんに詰め寄る。タジタジになる鬼鮫さんはやがて小さく頷いた。



「姉様、お部屋の改造はしなくていいから仕切るものだけ、作るか買って!」

『え』

「さっきの影分身、ミツ兄に学校休ませる事を伝えに行ったんでしょ?」



そうだよ?確かにそうだよ?でもそれは二人を落ち着かせて改善する為のものであってだね…



「行こう!鬼鮫おじちゃん!」

「あ、イタチ兄様は姉様と一緒ね!」

『ちょっとせめてお風呂…』

「「どうせまた泥んこになるもん!」」

『あ、ちょ…』





※※※





『何なの一体…』



呆然と立ち尽くした後、ハッと気付いたように机の食器を片付ける。



「馳走になった。手伝おう」

『あ、いいよ。ゆっくりしてて』



そう言われても、ゆっくりするのは気が引けるので一緒に流し台に立つ。横目でチヅルを盗み見すると目が惹かれるのはうなじ。伸びた髪の毛を結い上げ着物の隙間から覗くうなじが酷く艶めかしくて気付かれる前に視線を流し台に戻す。



『御免ね、手伝ってもらって。有難う』

「いや…それよりも双子の事はどうするんだ?」

『んー…そうだなぁ…』



泡の付いた手を水で洗い流して蛇口を締めるとエプロンで手を拭く。



『作るのは面倒だし買いに行くしか無いかなぁ』

「では俺も付き添おう」

『え?いいの?』

「さっき…マツに念を押された」



と言うのも建前かも知れないが。
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