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氷華血鎖【鳴門】

第18章 一部・逢引


喧嘩した後の双子の様子を見てチヅルは頭を抱えながら盛大に溜息を吐いて弟妹だけでなく俺達も居間に招き入れる。



『こんな時間だし二人共朝食まだでしょ?食べてって』

「いいんですか?」



どうせ余ってるから、と背中で返事をして台所に立つと速やかに支度して食卓に並べる。双子はお互いの顔を見ようとせずそっぽを向いたまま食卓を囲む。



『怪我は大した事無いから治療は後でね』



本来ならばちゃんと玄関からお邪魔しようと思ったのだが森から聞こえて来る金属音が気になって向かってみれば二人共が凄い剣幕で手裏剣や苦無を投げ合ってたり殴り合いをしてて修行では無い事に気が付いて止めたのだが。二人は言葉を交わすどころか顔も見合わせようとしないので仕方無く近道で庭からお邪魔した。



「「………」」



チヅルはと言うとその様子に肩を竦めながら書をしたためて一体の影分身を出し、書を渡して何かを頼む。



『何れはこうなる事は分かってたんだけど…意外と早かったか………もっと早く対策を講じるべきだった』

「喧嘩の理由が理由ですからねぇ…しかしまだ子供…」

「女性の方がいち早く大人になるとも言う」

『今、学校にも通わせてるから余計にかも』



学校…だと。そんな事をして大丈夫なのだろうか。素性などがバレる可能性が高いのでは…



『あー、そこんとこは大丈夫。姓も弥生じゃなくてミツさんとこの使わせて貰ってるし家族構成もミツさん一家にしてるし。コンタクトとカツラで容姿も偽装してるから問題無い』



だからこそ氷遁はまだ教えてあげられないのも理由の一つだ、と双子の背後に座ると印を結んでから双子の背に触れ一瞬で全ての傷を治した。





※※※





『さて…トシ。お姉ちゃんの言いたい事は分かるよね?』



泥だらけの手を握りながら俯くトシの顔を覗き込むと泣きそうな目で暫くアタシを見た後、更に目を伏せてポツリと呟く。



「女の子に………暴力は…駄目」

『うん、そうだね』

「でも…!」



自分の言い分を聞いて欲しそうに顔を上げるトシと隣で泣くのを我慢するマツの頭を撫でてやる。



『そこはお姉ちゃんが悪かった。マツも御免ね。こんなに早く女の子になるなんて思って無かった』

「「………御免なさい…」」
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