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氷華血鎖【鳴門】

第17章 一部・暗雲


ちゃんと構えず、だらけた体制で真ん中に的中させるトシの手裏剣術は目を見張る。マツはちゃんとした体制で投げてどうにか的に当たるくらい。同じ双子でも得意分野は違う様だ。
そして俺はと言うと…



-ザクッ…-



「わぁ…地球という大きな的に当たったね」

「ミツ兄、不器用」

「うっせ」



手裏剣術はとても苦手。幻術は全く出来ない。十歳以上も歳下のこの双子に勝てる事と言えば体術しか無い腑甲斐無い大人なのだ。



-すん…-



そんなやり取りをしていた夕暮れ時。ふわりと美味しそうな匂いが漂ってくる。



「あ、お味噌汁の匂いだ!」

「ミツ兄、今日も食べて行くんでしょ?」

「まぁ…うん、そうだな」



チヅの作る飯はお袋より美味いし。



「ミツ兄は姉上に告白しないの?」

「…!?バッ!?何故それを!?」

「バレバレだよ」



こんな子供にまでバレてるなんて…知ってるのはお袋だけかと思ってた…いや、お袋にもいつも言われるんだけどさ。いつになったらチヅルちゃんを嫁に貰うんだーって。言えたらとっくに言ってる。でもチヅは愚か双子にすら悪戦苦闘する俺なんかがチヅを守れる訳無い。だから偉そうな事は言えない。



「ミツ兄が義兄上だったら楽しそうだよな、マツ!」

「………」

「マツ?」

「私、姉様の手伝いしてくる」



サンダルを脱ぎ捨て縁側に上がるとパタパタと台所まで走って行く。



「「?」」





※※※





『うーん…』



弟妹が寝静まったのを確認してから一人、居間に行き机に蝋燭を置いて地図と睨めっこをする。地図には数個の罰印。この二年間、情報収集で行った場所。ある程度の隠れ里は回った。他に回ってないのは…



『木の葉、雨、霧…』



そしてここ最近出来た音。小国を含めればまだまだ沢山あるけど…小国なんかに情報があるとは考えにくい。雨はリーダーと小南さんが居るから何かあればそれとなくアタシに話をするハズ。となると…木の葉、霧、音になる訳だが…やはり一番情報がありそうなのは出身国である水の国…霧隠れの里。



『しかし』



霧は一人で侵入は難しいし…十蔵さんの事もある。見付かったらアタシも終わりって感じだし。
こんなんになるなら大蛇丸さんと仲良くしとくべきだったか。
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