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氷華血鎖【鳴門】

第16章 一部・再会


そのまま引き摺る様に家まで歩いて行くと、くるりとマツがこっちを振り返る。



「姉様とイタチ兄様はあっち!秘密のお話はちゃんと誰も居ないところでして!」

『「あ、はい…」』



物凄い剣幕にアタシとイタチさんは村の外れにある丘、薬草栽培場の付近に移動する。どうしよう。何を話したら良いんだろう。急に二人っきりにされても困る。



『あー…えーっと…変わらず元気そうで良かったよ』

「チヅルは…変わったな」

『変わっ…た?』



え。何が変わったんだう。特に何かが変わったとは自分では思わないんだけど。あ、いや変わったと言えばちょっと村を留守にする事が増えたくらいか。



「伸びたな」

『身長?うん、まだ地味に成長期みたい』

「髪」



するり、と伸びた髪の毛を一掬いされた束がサラサラと落ちる。



「頓着が無さそうだったが…何かあったのか?」



ドキリと波打つ心臓。背筋を伝う嫌な汗。いくらイタチさんを信用してても…コレは言えない。





※※※





『何も無いよ?そりゃ二年も経ってるんだから髪の毛くらい伸びるって』



そう言って向けられた笑顔は嘘吐きの笑顔。多分その笑顔が嘘吐きの笑顔だとは誰も気付かないであろう演技力。だけど同じ嘘吐きだから俺には分かる。恐らく重要な何かを隠してる。



「大した演技力だ」

『は?』

「言えない事なのか?」

『………っとにもう…腹立つくらいに適わないなぁ』



肩を竦めながら困った様に微笑む。



『でも言えない』



意志の強いその真っ直ぐな眼差しにそれ以上は何も言えなくなる。あの時の様にまた万華鏡写輪眼で記憶を覗いてやろうかと考えた時だった。



「!」



ぎゅっとキツく目を瞑ってそっぽを向かれる。



『駄目、見せない。その手にはもう引っ掛からない』

「………」



今度は俺が肩を竦める番だった。



「…無理はするな」

『…うん、それは大丈夫。ってか心配してくれてんだ?へーえ?』



チラリ、と覗き込まれる様に…まるで悪戯っ子の様に微笑むチヅルの視線から逃れる様に目を逸らす。



『はは!有難う。相変わらずお優しい事で』

「茶化すな…」

『はいはい、すみませんね。ささ、早く行って』

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