第16章 一部・再会
風に乱される髪の毛を抑えながら伏せた目で言う。本当に女らしくなった。外見だけではなく仕草の一つ一つも。
「時間が空いたらまた…寄る」
『!』
驚いた様に顔を跳ね上げると大きな目を瞬かせる。そして、ふわりと嬉しそうに微笑んだ。
『うん、待ってる。行ってらっしゃい』
※※※
『っ痛ぅ…』
イタチさんを見送った後、激しい頭痛と眩暈に襲われる。そして一瞬だけ破れた写真の様な絵が脳裏に浮かぶ。この症状は二年前と同じ。それ以降は全く無かったから、この目の覚醒最終段階の線は無いと思ってたんだけど…何でまた………
『赤黒い手』
まるで血に染まったみたいな手だった。アレは誰の手だろう。手の骨格や大きさ的に男性では無い気がするけど、やっぱり一瞬だったし分からない。
「「姉様/姉上」」
『マツ…トシ…』
「イタチ兄の気配が消えたからお話終わったんだと思って来たんだけど…」
「姉様大丈夫?具合悪い?」
「まさかイタ『違う』…流石にそれは無いか」
タイミング悪く来てしまった弟妹に問題無い事を伝え、マツとトシに支えられながら立つ。立派になったもんだ。二年前ならきっと二人がかりでもアタシを支える事は出来なかっただろう。
「私達…いつになったら姉様のお手伝い出来る?」
『マツ…』
「後どのくらい強くなればいい?」
『トシ…』
弟妹に心配かけるなんて姉失格だな。
『有難う二人共。アンタ達は充分に手伝ってくれてるし良い子に育ってる。強くもなった。でも』
「「………」」
『まだ七つだ。だからまだまだ子供で居て欲しいと…お姉ちゃんは思ってる』
俯く二人の頭を撫でて数歩先を歩く。このまま平和に安静に生きていればこの子達も大人まで生きれる可能性がある。姉であるアタシより先に逝くなんてそんな姉不幸な事にはなって欲しくない。
『さてと…じゃあ夕飯の狩りでも行こうか』
「「うん!」」
→to be continued.