第16章 一部・再会
『ん、おいひい』
頬に手を当て万遍の笑みを浮かべる。本当に苺大福が好物だったのか。知らなかった。
「不死身の理屈は分かるか?」
『んー…』
ごくん、と飲み込むと顎に手を当てて未だ言い争ってる角都と飛段、弟妹に折り紙教えている小南の様子を眺める。
『呪いか何かかなー…でも…そうだな………』
使用術も呪術の類だから不死なのも呪いでは無いかとチヅルは言う。
『栄養は必要みたい』
つまりは餓死はするって事か。食べ物を口にしないって事は無いから実質、本当に不死身な訳だ。
※※※
別に何かを求めてるわけでも何かを期待してるわけでも無い。ただ久し振りのちゃんとした会話が仲間にした不死身殺人鬼の観察とは随分と色気も何も無い。まぁらしいっちゃあらしいんだけど。
「じゃあそろそろ私達は行くわ。ペインに報告しなきゃだから」
『寄ってくれて有難う。後お土産も』
「「えー!もう行っちゃうの?」」
滞在時間は…半刻も経ってないくらいか。
「イタチ兄、修行付けてよー!姉上ったら氷遁すらまだ教えてくれないんだよ!?」
『こらトシ!』
イタチさんに飛び付こうとするトシの首根っこを引っ掴んで制して持ち上げながら目を合わせようとすると口を尖らせて拗ねた様に視線を逸らされる。
「チヅルを困らせるな。チヅルはお前達を心配してるから、まだ教えないだけだ」
『イタチさん…』
「違うのか?」
『あ、いやまぁ…うん、そうなんだけど…』
漆黒の瞳と目が合って思わず視線を泳がせると小南さんと目が合う。すると小南さんは何かを察した様に小さく微笑んでアタシとトシの頭を撫でる。
「早く一人前になりたいのは分かるけど焦ったら駄目よ」
「小南姉…」
「私達は先に行ってるわ。イタチ、貴方はチヅとトシを宥めてから来なさい」
『「!?」』
もう宥まってますけど小南さん!
※※※
意味深な言葉を残して怪訝な顔をする角都さんと飛段さんを連れて村から姿を消す。残されたアタシ達は取り敢えず沈黙を貫いてアタシはトシを地面に下ろすとパタパタとマツが駆け寄って来てトシの耳を思いっ切り抓る。
「痛てて!痛いってマツ!」
「んもう馬鹿!!アンタはこっち!」