第16章 一部・再会
初めて見る顔にトシは興味有り気な表情で見上げる。
「此奴は殺じ「私達の新しい仲間よ」…」
「そっか!皆のお友達なんだね!あ、マツがお茶の用意をしてるんだ!」
早く来て、と言わんばかりに外套の裾を引っ張る。角都の言葉を遮った小南は"余計な事は言わないで"と目で訴え掛けていた。
「しっかしまぁ…湯の国にこんな村があるとは知らなかったな。貧乏臭い村だぜ」
「俺も実際此処に来たのは初めてだ」
「この前はサソリおじちゃんとデイダラが来たよ」
「あら…あの二人が?」
「デイダラが毒キノコ食べたんだって」
毒キノコ…流石にそれは無いだろうから敵の術でも喰らって治療に来たのだろう。そう言えば派遣メンバーを決める時にデイダラは行きたがってた気がする。
………解せない。
※※※
『わぁ!皆久し振りだね!いらっしゃーい』
と変わらない笑顔で出迎えてくれたチヅル。変わらないのに凄く変わった。
「私は半年振りかしら?少し見ない間にまた女らしくなってるのねチヅ」
『え?本当に?』
「「「………」」」
照れ臭そうにはにかむチヅルは随分と女性らしくなっていた。短かった髪の毛も伸ばしていて顔付きも少女らしさが少し消えた。背も大分伸びた様に見える。机に茶を置くマツも幼児から少女に成長しつつある。たった二年で…こんなにも変わるものなのか。
『で…これが例の人?勧誘するんだ?』
「ええ」
ふーん、と品定めする様に足の先から頭のてっぺんまで凝視していると不快に感じた飛段が一本後退りながら喧嘩を売る。
「何だてめぇ!やんのか!?」
「やめておけ。いくらお前が不死身と言えどチヅルには勝てん」
同じ様に血液を扱う術なら血遁を扱うチヅルの方が術の精度は高い。それに…相手の血を舐める、と言う時点で勝敗はもう決まっているのだ。チヅルの血遁は自分の血を相手の身体に付着、或いは体内に入れてからが本領発揮と言うのは何度か戦闘を見て知っている。
「おいおい冗談だろ?こんな小娘に…」
「チヅは強い。やめとくんだな」
『あらぁ…イタチさんと角都さんにお墨付きをもらえるとは光栄な事で』
ずず、と茶を啜りながら土産の苺大福に手を伸ばす。