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氷華血鎖【鳴門】

第15章 一部・二年


『でしょー?子供の成長は早いよねぇ』

「餓鬼共もそうだがチヅ、お前もな」

『………アタシ?』



サソリさんの言葉に振り向くと、余所見して失敗すんじゃねーぞって怒られるけどそんなヘマはしない。



「四年前の勧誘に失敗した時は乳臭い糞餓鬼。二年前に協力者になった時は乳臭さ抜けない小娘」

『………は?』

「今は…小娘ではなくなったか」



何言ってんだこのオッサン。成長したって褒められてるのかと思ったら思いっきり貶してるじゃないか。



『取り敢えず傀儡の一つくらい壊してもいいですかねぇ?』





※※※





目を覚ますと見慣れない天井。室内は薄暗く夜だと言う事が分かる。確かオイラは敵の毒を喰らって…



「………っ」

「「あ、起きた!」」

「うおっ!?」



まだ重たい身体を起こすと互いに瓜二つの子供が挟み込んで来る形で覗き込んで来る。キラッキラした白銀の髪の毛にとても澄んだ綺麗な藤色の瞳。芸術的だと思った。



「お水飲む?」

「僕、姉上呼んでくる!」



忙しなく散りゆく子供達を呆然と見ていると、ふと視線を感じた。



「流暢に寝やがって」

「サソリの旦那!すまねぇ…」

「運が良かったな。任務先が偶然湯隠れの里に近くて」

「?」



湯隠れ………そうか。確か此処には暁の協力者である凄い医者が居るとか言ってたな。実際にはまだ会った事は無いが会合にいつも黙って佇んでるだけのあの小さい影の奴か。



「姉上早く!」

『ちょっとトシ』



-ガラッ-



「!」



と開いた襖。射し込む月明かり。



『あ、初めましてデイダラ君。加減はどう?』



子供達も芸術的だと思ったが、それ以上に…否、芸術的と言う言葉では言い表せられない程、美しい女だった。





※※※





「………」

『?』

「………」

『おーい』

「放っておけチヅ」



呆然とアタシを見るデイダラ君は放心した様にパチパチと瞬きを繰り返す。その様子にサソリさんが冷たい突っ込みを入れる。いやね、放っておけって言われても患者は放っておけないんだよね。分かってんのかな、そこんとこ。



「目が覚めたなら行くぞデイダラ」

「………はっ!え!?もうかよ!?」

『ちょっとサソリさん、せっかち良くない』
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