第7章 零部・眼
「………?」
音が聞こえなくなって恐る恐る目を開けると真っ先に目に入ったのはチヅの綺麗な御御足。そしてそのすぐ側に散らばるのは原型を留めてる…恐らく臓器。
「ひっ…」
『これは良い猪だ!今日はご馳走だね!』
「えっ」
と楽しそうに笑うチヅの手には綺麗に捌かれた鮮血滴る肉の塊。抜かりない…!そして逞しい…
※※※
その夜は村の皆で猪鍋を囲った。マツの要望のお魚料理はまた明日って事で魚は氷遁で冷凍保存をする。
「んー…おなべ…」
「むにゃ…」
『ふふふ』
弟妹揃って寝言を言う様子が可笑しくて、つい笑ってしまう。乱れた布団を掛け直して、アタシもそろそろお風呂に入って寝ようかと考えてたところで、ふと気配を感じて外に出る。
-バサッ-
月夜が綺麗な空から羽を羽ばたかせながら降りてきたのは真っ黒な烏。赤い眼が妖しく光を帯びる。そっと手を差し出せばその手首に止まる。撫でようと思って空いた手を伸ばせば煙に巻かれて消える。
『秘湯の入口で待つ、か…』
とても嫌な予感がした。
※※※
烏を寄越して数分。切り株に腰掛けて呼び出した人物を待っていたら多少、息を乱してやって来た小さな影。
『イタチさん…』
「十蔵からの『待って』………?」
『言わなくていい。分かってるから』
分かる…だと?まだ会って数秒しか経ってないし、まだ他のメンバーにすら何も伝えてない。
『良い女になれ、か…』
「…!」
『酷いなぁ十蔵さん。これ以上に良い女になったら逆に貰い手居なくなるってのに』
と月が浮かぶ空を仰ぐ。
心を読まれた…?否、記憶を読まれた…?しかしこの様な事は以前…旅の道中でもあった。その時ははぐらかされたが…心を読む術や記憶を読む術などあっただろうか?いや、あるにはあるが術を使った様子など全く無い。となると…まさか…
『そう。そのまさか』
「その目か」
『写輪眼みたいな瞳力も無ければ白眼みたいな透視能力は無いけど思考と記憶を読める。ちょっとだけなら眠らせる事は出来るけど大した力の無い目だけどね』
ふと何時ぞやに大蛇丸が言ってた"稀少な血継限界"と言う言葉を思い出した。使用する氷遁は雪一族の血継限界。血遁と言うのも恐らく血継限界。