第1章 十二支高校野球部マネージャー物語
「ちょっと、思いついたとは?」
聞きたくないが先に居ておいた方がいいだろう。
心の準備が必要だ。
「見目麗しい女子にふさわしい恰好をしてはどうだろう
形から入るというのも時には…うん、そうだ…
そして、薔薇の華香る庭園で…よし、ニルギリ!!」
ぱちんと指をならすと
「ドレスと靴が必要だね 仕立て屋を家に頼むよ」
と言って、満足げに頷いた。
「僕は魔法使いでもあるんだよ」とつぶやいて。
◇ ◇ ◇
牛尾宅へ着くと小部屋(といっても20畳ほどある)へ
案内され、すでに待機していた仕立て屋が用意したドレスを
次々と試着し、マネキン人形にでもなった気がした。
ドレスが決まると次は靴、その次はアクセサリー
そしてヘアスタイルと、着々と豪華絢爛な姿へと変身した。
派手でもけばけばしくないのはさすがだとはるなは思った。
最初は、学校の制服を着ていつもの髪型だったのだが
次に鏡を見たとき上品なアップスタイル
耳たぶと耳元には菫色の宝石ドレスはライラック色のシフォンワンピース、そして靴は硝子の靴という姿に変身していたので、はるな自身とても驚いた。
「別人、かも」
鏡の中の自分にしばし驚いていると牛尾がドアを開けた
「準備はいいかな?プリンセス」
続く