第2章 思い出
私は夕暮れの川沿いを、マイコさんと並んで歩いた。
マイコ「仕事やめちゃったんだって?」
「はい、私には合ってなかったんだと思います」
マイコ「そっか。それで次の仕事は決まったの?」
「いえ、今はまだ仕事を探す気になれなくて」
マイコ「あなたのお父さん、心配してたわよ。何も話してくれないって」
父さんが心配してるのは知っていた。
でも、どうしても言えなかった。
マイコ「ねぇちゃん、もう一度東京に出てくる気ない?」
「えっ?」
マイコ「実は、私の旦那様が海外に転勤になったの。それで、私にも付いて来て欲しいって言ってるのよ」
「はぁ……」
マイコ「けど私には寮母の仕事があるでしょ。だから迷ってるのよ。それでもしちゃんさえ良ければ、私の代わりに寮母をしてもらえないかと……」
「えー!私がマイコさんの代わりに寮母を………!!!」
マイコ「寮母っていっても何も難しくないわ。基本身の回りの事は自分達でするから、あなたは彼等の食事の世話をしてくれればいいの。」
「でも………」
マイコ「返事は今すぐじゃなくていいわ。1週間ゆっくり考えてみて」
「はぁ……」
突然舞いこんできた寮母の話。
私はこれから起こる出来事を、知る由もなかった。
母さんが引き合わせたかの様な再会。
それは、これまでとはまったく違う生活だった。
ーDestiny〜chapter〜へ続くー