第17章 始まった関係
仕事終わりに迎えに来てくれた二宮さんの車内。テレビでは見ないその運転姿に笑ってしまった。
「レア、ですね」
「さっきからそればっかうるさいな」
「や、だって、二宮さん運転してる」
「するわ、もう26だわ」
「なんか大人だね」
「あなた自分の歳言ってみなさいよ」
「い、意地悪」
隣で笑った彼のシートベルトをつける姿を見て
「…………、」
「何、まだ言うの?」
黙って見つめる視線にふふ、と笑う彼。
「……、あ、いや、お腹、空いたね」
「俺も。何か作って」
「え、料理?」
「うん、俺ん家でもいい?」
「うん、それはいいけど」
「けど?あ、まさか期待して」
「あはは」
「そこ大笑いするとこじゃないよ、
照れるとこですよ」
ハンドルを切る彼にもう1度笑った。
助手席に乗ったのはたった1度、遅刻しそうなあの日だけだったのに。
シートベルトをつける二宮さんを見て、8年前の記憶が蘇ったなんて。