第16章 嘘、ほんと
「ただいまー…」
靴を脱いで家に入ると、リビングがなんだか騒がしい。
父が高校の時に亡くなって以来、この家には私と母とすでに実家を出た兄だけで今は母との2人暮らし。
それなのに、こんな時間にお客さん?
腕時計を見ると夜の23時30分を過ぎている。
「誰だろう」とリビングの扉を少しだけ開け、その隙間から顔を出した。
「あ、主人公名前やっと帰ってきた」
「な、なに、どうしたの」
母の異常なテンションに酔いも覚めてしまう。
そんな私に「おかえり」と声をかけたのはリビングのソファーでくつろぐ見覚えのある顔。
「しょ、翔君…」