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君の声で

第15章 あの人との食事










「…付き合う、どこに」

「あ、マジ?そのやり取りやっちゃう?」

「……、」



もう1度落ち着いて整理してみても、やっぱり理解できないその言葉に頭の中が疑問だらけになる。

そんな私にはお構いなしで、話を続けようとする彼。



「2個下でもいいって言った」

「え、や、言いましたけど
 違いますよね…?
 そういうことじゃなくって、ね?」

「だって今いないんでしょ?」

「いませんけど
 付き合うってそういうことじゃ」

「じゃあ、いいの?このままで」

「……、え?」



意味深な言葉に胸がざわつく。









「好きなんでしょう、翔さんのこと」








真っ直ぐ私を見る真っ黒な瞳。やっぱり、最初から見透かされていた。

彼の視線から逃れられずに、ゴクリと唾を飲み込んでそれでも隠そうと必死に取り繕う。



「違います、私はただの」

「幼馴染?ずっと、これからも」



わかってる、そんなの。

もう" 幼馴染 "その言葉でくくれる気持ちには戻らないってわかってる。

だけどその気持ちを口にしては、ダメだ、ダメなんだ。口にしてしまえば、私は一生、…






彼の攻撃にもはやHPが無くなりそうで、話す言葉に力が入らない。




「…確かに、昔は、好きでした。
 でも、…もういいんです。
 私は幼馴染のままがいいんです」



そう、決めたのは8年前。



「だったら、問題ないじゃん」



にこっと子犬のような顔で笑う。



「…はい?」

「知ってる?男の人で傷ついた心は
 男の人でしか癒せないんだって」



テーブルに置かれた私の手が、決して大きいとは言えない彼の手で優しく包み込まれる。






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