第15章 あの人との食事
「え、だから明日オフなの、俺」
「あーそうですよね、
そんな日は飲みたくなるなるー
…って、そうじゃなくて!」
「わお、ナイスノリツッコミ」
い、いや…違う、違うでしょ私…、なんか調子狂うな二宮さんって…。
「…あの大丈夫なんですか?
こんな…2人きりでお食事なんて」
" 嵐の二宮和也 "がこんな…、こんな一般人と2人で食事だなんてことがマスコミに知られたら、絶対面白おかしく書かれるに決まってる。
「え、ああ、心配してくれてんの?
優しいなあ、主人公名前ちゃんは」
そう言って肩肘ついた彼は気だるそうな目で私を見た。
「いえ、そういうんじゃ、なくって」
なんとなく、その何でも見透かされそうな視線が気まずくて目を逸らす。
「昔ありましたもんね翔さんも」
その声にまたバチッと視線が合って。
意味深な彼の言葉に戸惑う私、何も悪いことなんてしてないのに変な汗が出てきた。
異様な雰囲気が漂う中、彼がふっと笑って口を開く。
「…大丈夫、
ここ俺の行きつけだから安全なの
はい、ビールきたよー、
はい、かんぱーい」
あまりにも淡々と自然な流れで生の入ったジョッキを渡され、カンっと口の部分を当てる。
「………、」
グラスに口をつけ「あーうまい」と言う彼を呆然と見つめるしか出来ない私は、頭の中で「なんというかまあ、凄い人だなあ 」と。
「ふふ…、」
漏れた笑いにグラスを置いた独特な雰囲気を持つ彼が
「え、何?」
と目を丸くした。
「いえ、これが
翔くんの仕事仲間かあと思いまして」
「何、不満でした?」
と笑う彼にあることを思い出して笑ってしまう。
「あ!また笑ったー」
「すみません」と一言謝って、その思い出し笑いの原因を告げる。