第14章 変化した環境
…あの、どの?
隣にいる彼を見る。
「…智君、少し黙ってて下さい」
すると今度は二宮さんが私を見た。
「…!あー、あの主人公名前ちゃん!」
そして何かを思い出したように私に向かってニッコリと笑う。
「!さては…佳奈ちゃんって翔様の子?」
松本さんの言葉に相葉さんが思い出したように「あ~!あったねそれ 」と笑いながら言った。
「え、何で!ちょっと翔様何言ったの!?
すっごく恥ずかしいんですけど!」
「あ、えっと…、
つうかなんで覚えてんの!」
「いやぁ、翔さん
あの時が一番楽しそうでしたもん。
大学行きながら仕事してた時」
「そうそう、オイラあんな生活
意味わかんなくて。
疲れない?って聞いたら
すっげぇ楽しいって」
「そんなこと言った?」
と笑いながら言う彼。
「言ってた、言ってた!
いっつも主人公名前ちゃんのことばっか」
相葉さんの言葉につい体が反応し
「こら!おまっ、
余計なことを言わない!」
隣で焦る彼に笑いが出た。
こんな翔君は久しぶりだ。
「…ふふ、」
「…なんか、ごめん」
隣に座る彼が謝る。
「なんで謝るの」
「…わかんない」
「変な翔くん」
一緒に笑うのなんて何年振りだろう。やっぱり、彼の隣が私は好きなんだ。
この気持ちを" 幼馴染 "なんて、そんな純粋な言葉で呼んでいいんだろうか。
8年前に閉じ込めたはずの気持ちが一瞬で揺らぎそうになる。
「…久しぶりに聞けた」
彼の低い声は小さくてよく聞こえなくて。
「ん?何?」
「うんん、何でもない」
彼と話している間に、佳奈は持ち前の性格で初対面の4人と打ち解けていた。