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君の声で

第13章 8年経って









瞳を揺らして動揺する佳奈が口を開く。









「……しょう、…様…」



男性は眉を寄せて、ゆっくり手を降ろす。



「……、翔様…?」



男性が小声でポツリと呟くと、一瞬目線を下にやり何かを思い出したように再び彼女へと視線を向けた。



「……か、佳奈ちゃん!?」



そう言った次の瞬間、佳奈を見ていた男性の視線が私に向けられる。



「……、」










頭が真っ白だった。

そこにいるのはあの頃と違う黒い髪。一回り大きくなった身体、直接見たことないスーツ姿。



「主人公名前ちゃん…!」



私の名前を呼んで笑う顔、それは変わらない翔くんの笑顔。

久しぶりの優しい声に、また鼓動が早くなる。



「…、」



その呼び掛けに、声を出すことはおろか微笑むことすらも出来なくて。



「2人とも、久しぶりだね」



再会を喜ぶような優しい声は、少しだけ大人っぽくなっていた。






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