第13章 8年経って
「…ひ、久しぶり!
翔様、会いたかったよ~!」
佳奈が彼と元へ近づく。
彼女のその言葉に私の思いも重ねる。
私も、
翔くん、私もね
本当はずっとずっと会いたかった。
「うん、俺も」
目の前の佳奈に彼は笑ってそう言った。
笑い合う2人の姿を見て、あの頃の気持ちを思い出してしまう。
動かない私に気づいた彼が「主人公名前ちゃん」と名前を呼んだ。
「は、はい」
先程出来なかった返事を今度は慌てて返して。
「はは、 変わってないな、反応が」
翔くんだって、変わらないその笑い方。
久しぶりに会えたのに、寂しくなる気持ちが大きいのはまだ彼を忘れられない証拠だ。
彼が佳奈と私を見て、「良かったらさ」と口を開く。
「一緒に、こっちで飲まない?
紹介したい人達がいるんだ」
これ以上、彼と一緒にいていいんだろうか。
その不安が過ると、隣にいる佳奈が小声で私に耳打ちする。
「無理しなくていいんだよ」