第13章 8年経って
「気持ちが抑えられなくなりそうで、
2人で会うのは怖かったんだ」
初めて伝えた私の気持ちに、彼女は黙り込む。
「…かな?」
「そんなの嫌、だよ
翔様の隣は主人公名前だけだって
佳奈はまだ、」
お酒のせいだろうか。
瞳を潤ませて唇を噛むような彼女を見て、胸の奥が熱くなった。
「ありがとう、でも大丈夫だよ
ほら見て、バンクーバー決まったって
メールくれたんだよ。
これは私が決めたことなの」
身体を前のめりにして携帯の画面を見せるが、彼女の表情は変わらず。
「…でも……佳奈は諦めない」
「まだ言うか 」と笑うと、勢いづいた彼女がテーブルをダンッと叩く。
「そおよ!思い込み激しい、
諦め悪いで有名な佳奈だもん!
そこは譲れない!んもうこうなったら」
その勢いに、ものすごく嫌な予感がした。
「…え、ちょっと、佳奈?」
すう、と息を吸い込み
「…櫻井翔に物申す…!」
すると突然その場に立ち上がる彼女が次の瞬間、この場に似合わぬ声で叫ぶ。