第13章 8年経って
そう、あの日。
彼のニュースを見た日から数週間後、誘いの連絡があったけれど『用事があります』そう返事をして。
会ってしまえば、2人になってしまえば、想いが抑えきれずに気持ちを伝えてしまう。
上手くいかずに" 幼馴染 "の居場所が無くなるなんて、そんなのあの時の私には選べなかった。
その後も何度か誘いはあったけれど、どうしても彼の口から私が" 1番ではない "ということが聞きたくなくて、その現実からずっと逃げ続け。
彼からは毎回、『また今度連絡する』といういつも通りの優しい返事。
「よかった、これでずっと幼馴染でいられる」そう思って。
ただその肩書だけにしがみついて、彼との関係を作ったこの8年間。
やっぱり、本当の" 幼馴染 "に戻るなんて私には出来なかった。