第12章 言えない言葉
でもいざそれが現実になると、やはり私はダメな女だと実感する。
翔君の隣はもう" 幼馴染 "の私じゃない。
少し前までは彼でいっぱいだった着信履歴も今はその名前が懐かしい。
昔を思い出すと、なんだか急に寂しくなって笑ってしまった。
電話帳の中からやっと彼を見つけると、名前を見ただけなのに指が震える。
見る見るうちに名前が滲んで。
遅れて気付いた気持ちがこんなにアッサリ終わるなんて、思ってもみなかった。私にとっては幼馴染の男の子だけれど、彼は嵐で、アイドルで、芸能人で。
初めて自分の弱さに気づく。
これから先もこの気持ちを持ったまま、 何も伝えられないまま、彼の近くにいるなんて私に出来るのだろうか。
いつかは彼女を紹介されて
「こいつのことよろしくな」
なんてあの笑顔で言われたりして。
こんな気持ちになるんだったら
こんな痛み知るくらいなら
「…気づかなきゃ、よかった」