第12章 言えない言葉
「ホントなのかしら…。
翔くんから何か聞いてない…?」
昼間の彼が蘇る。
『 話したいことがあって』
話って、この事だったんだ。こんな発表になる前に私には伝えておこうって、そういうことだったんだ。
「…なにも、聞いてない」
「翔くん、大変になりそうね…」
母の言葉に何も言えず、その場を離れた。
2階に上がると、体が急に重くなる。
彼のことが好きだと気付いてから、想像はしていたことだった。
彼が誰のことを好きになっても、絶対喜ぶんだって、応援するんだって。
潔く、" 幼馴染 "を続けるんだって。
それだけは決めていたことだったのに。