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君の声で

第12章 言えない言葉










「…確かここに、」



授業が終わり家に戻った私は、数ヵ月前に買ったプレゼントを取り出した。




それを見ると偶然ロケ現場に遭遇した日の彼の顔を思い出す。

あの歪んだ表情、今日の私が感じた嫌な予感とも似たような、胸に引っかかるあの感じ。







「主人公名前!ちょっと!」





1階から母が私を呼ぶそれはいつもと様子が違っていて、なんだろう、とここでも嫌な予感はしていたんだ。



「はーい」




返事をして階段を降りると、オロオロと青ざめた表情の母が私を待ちきれずに階段を上り始めようとしていた。



「…翔君、大丈夫なの!?」

「え?…なにが?」



母の質問に眉を寄せた。



「ほら、テレビ…、」



そう言って、テレビを指差す母のその手を視線で追う。

その先には、テレビの画面に






『スクープ!櫻井翔新恋人』






その文字で、画面いっぱいに白黒写真で彼と有名女優さんが楽しそうに歩いている姿。

すごくお似合いで、それは私の知らない彼が作り上げた世界、私の届かない世界。






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