第11章 空いた時間
どうしよう、予想外すぎて対応できない。
少し前まで、「もう彼の前でも以前のように…」なんて言っていた自分に、嘘つき嘘つき嘘つき!と心の中で野次を飛ばす。
こんなに長期間顔を合わせなかったことがなくて、正直どんな風にしていいのかわからない。
以前の" 幼馴染 "のままなら、出来ただろうに。
ギュッと1度目を瞑り、「どうか前みたいに笑ってくれますように」と心の中で祈って目を開いた次の瞬間。
「主人公名前ちゃん!」
変わらない笑顔で微笑んでくれた彼が、私の名前を呼んで大きく手を振る。
その声が。久しぶりに私に向ける彼の笑顔が嬉しいはずなのに、少しだけ胸が痛くなった。