第11章 空いた時間
4月、私達は4年生になった。
3年夏くらいから周りは一気に就活モードで、私も就活真っ最中。第一希望は某広告代理店。
ちなみに佳奈はキャビンアテンダント。なんともうすでに内定が決まってて、三井君はIT関係に進みたいって言っていた。
やはり授業も就活関係が増え、今日はビジネスマナーを教わるために、スーツで学校へ。
4年生になると佳奈と三井君ともなかなか学校では会えなくなって、みんなそれぞれの道へ進む準備期間。
寂しいなんて言ってらんない、私も頑張らなきゃ。
「…よっし」
お昼休み。パタンと日記帳を閉じ、次の講義のためそろそろ移動しようと飲みかけのカップを手にする。
突然の「きゃあっ」と言う女の子の黄色い声に振り向くと、そこには久しぶり見るあの人の姿。
周りにはいつものように2、3人の男の子がいて。楽しそうに笑う、その姿に春の暖かい風の音が聞こえ、私の心臓がまた音を立てる。
茶色のままの少し伸びた髪、笑った顔、何ヵ月かぶりに見たせいかなんだかまた、大人っぽくなったように感じた。
そんなことを思っていると、まだ遠くにいる彼と急に目が合って戸惑う私。
さっきまで隣の友人に笑っていたはずの彼が目を見開いて視線がつながると、私の胸の奥も、ドクンと飛び跳ねた。