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君の声で

第2章 幼馴染










まだ内容も言ってないのに電話越しの相手はすぐに察してくれたようで。



『…だろうと思った、お邪魔しまーす』



と、笑いながら電話が切られる。




しかしながら全くもって笑いごとでは、ない。

なぜなら今日の講義は13時からで、この論文を提出しなきゃ単位取り消し。

つまり遅刻確実な今、留年確定なわけで。



「せっかく頑張ったのに…」



とベッドから出ないままうつ向く私に



「ほらっ、まだ諦めないの。
 まずは着替えて!」



と目の前で笑いかけるさっきまで電話の向こうにいたはずの彼。




「翔君…!間に合うかな」

「まーに合う、間に合う!
 2人ですれば大丈夫でしょ」

「だって、メイクもあるし、
  髪の毛だってあるし」

「主人公名前ちゃん
 もうすでに3分無駄にしてます」

「お、お願いします」

「了解」



そう言ってまた微笑む茶髪の彼は幼馴染みの櫻井翔くん。

彼と私は同じ大学の経済学部に通う大学3年生。家がお隣だということで幼稚園から今まで、何もかもを一緒に過ごしてきた。

お母さんなんてまるで本当の息子のように彼のことが大好きで。

それに加え、私が困るほどミーハーなもんだから彼が事務所に入ってからは「私がファン第一号よ」と彼のおばさんに言い続けている。

そう、私にとっては幼馴染みの泣き虫翔くん。





だがしかし、今や歌って踊って役者もこなすスーパーアイドルなんて…未だに信じられない。





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