第7章 意識
隣から私の前の焼き鳥に手が伸びて「これ貰っていい?」とまだ食べるのを止めない彼女に、素朴な疑問をぶつけた。
「佳奈ってさ、
翔君のこと好きじゃないの?」
その言葉に食べる手を止め、こちらに視線を送る彼女が
「佳奈が?翔様を?」
と言って笑う。
私がうん、と頷くと「ないない」と言って左手をヒラヒラさせた。
「佳奈は翔様のファンで
恋愛とかそんなんじゃないの」
ファン、その言葉に彼は芸能人なんだと思わせられる。そうか、翔君は恋愛する相手じゃないのか。
「そうなんだ、難しいね」
「そうだよ!てか、本気でそれ言ってんの?
佳奈友達の好きな人を取るほど
貪欲じゃないよ」
佳奈の言葉に一瞬戸惑った。
「…あ、佳奈の友達が
翔君のこと好きなの?」
そうか、恋愛は人それぞれだもんね。佳奈みたいにファンで終わる人もいれば、それが好きの気持ちになる人もいるもんね。
突然すぎて驚いてはしまったが、落ち着いて考えればそんなにあわてふためくことではない。
嵐だし、それを抜きにしても翔くんだし、好きになる人は少なくないはず。
1人でうんうん、と納得し終えると、
「は?主人公名前のことなんだけど」
と衝撃的なフレーズが耳を刺す。