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君の声で

第5章 変わらないもの










「主人公名前!?」

「は、はい!」



突然叫ばれた名前、反射的に返事をする。

振り返ると、血相変えた三井君がいた。



「遅いと思って見に行ったら
 主人公名前が怪我したって…
 え、っと櫻井…?」



さっきまで私を見ていた三井君が、私の後ろに視線を向けて驚いている。

やばい、翔くん手握ったままだ。



「あ、えっと…!
 さ、櫻井くんが助けてくれて…!」

「………」



慌ててなんとか誤魔化そうとするも、隣の彼は黙ったままで、私も何も言えずに黙り込んでしまった。

そんな沈黙を破ったのは三井君。




「あ、櫻井なんて勝手に呼んでごめん。
 俺こいつの友達の三井です。
 主人公名前のこと、ありがとな」



三井君は翔君に笑顔で近づく。


ソワソワする私に視線もくれず、フンワリ微 笑んだ彼が



「…いや、丁度探してたから
 タイミングよかったよ。
 こちらこそいつも主人公名前が
 お世話になってます」



とまるでお母さんが言うようなその言葉に、 三井君も私も目を丸くした。



「え!?何、お前ら知り合いなの?」



三井君がまた私を見る。



「えっ!」



何!?翔君どうしたの!?三井君には言うの!?

そのあまりにも突然すぎる行動が理解できな い私は、1人だけあたふたするしか出来ないのに


「うん、幼馴染」


と平気で言っちゃう彼に肩の力が抜ける。





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