第5章 変わらないもの
「…もうね、ほんとあぶなっかしいの。
昼間だって派手にこけるし
あれも膝、傷ついてるでしょ?」
その問いかけに思わずギクッと肩が揺れた。その様子を見てか、ハアとため息をついた彼がまた口を開く。
「…俺が側にいない時はさぁ
しっかりしてくんねぇかなぁ?」
下から私を見るような視線。なんだか怒っているようにも見える彼に、謝るしか出来なかった。
「ごめん、なさい」
「……」
ジャーっという水道の音だけが聞こえると、黙ったまま時間が過ぎて。
「……んぬぁあああ!」
今まで黙っていた翔君が突然叫び出し、その声にビクッと私の体が飛び跳ねる。
「…ごめん、意地悪な言い方した」
私を見てシュン、と明らかに肩を落とす彼。
「え?あ、え?」
その激しい変わりように、私は何が何だかわからなくて。