第4章 翔くん
2人には言わなきゃ。秘密にする必要なんてないんだけど、なんて考え事しながら歩いていると人にぶつかった。
ドンッ──
「きゃっ」
「…っ!」
その瞬間、彼女の持っていた紙コップの中身が私の腕にかかる。
ついてない。丁度半袖を着てきた日で、女の子が持っていたカップの中身は買ったばかりのホットコーヒーだった。
「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか…!」
コーヒーのかかった左腕がジンジンして、痛い気がする。
「だ、大丈夫です、私こそすみません、
あなたは大丈夫ですか?」
「わ、私は大丈夫です…! それより腕が…!」
彼女の慌てる顔を見て、もう一度自分の腕に目をやった。ジワジワと赤くなったそれ。
あ、だめだ、早く濡らさなきゃ。
そう思い、彼女に別れを告げようとしたその時だった。