第4章 翔くん
「翔君と佳奈は気が合うと思うけどなあ
ほら、2人ともおしゃべりさんだし」
その姿を想像したらつい笑いが出た。
気がつくと佳奈と三井君が驚いた顔をして私を見つめている。
「え?何?」
「どうした、主人公名前、めずらしい」
「うん、佳奈もビックリ」
2人が目を大きくして。
「え、あ、何が?」
「翔君、なんて呼んでたっけ」
「え?佳奈がいつも呼んでるから
うつったんだよ」
「佳奈、翔様って呼んでる」
まずい。
「み、三井君が」
「呼んでません」
なんて考える間もなくバッサリやられた。
「あれ?な、なんでかなあ、…あ!
昨日嵐が出てるテレビ見たからだ」
「あー!佳奈もそれ見た!
あのドラマの主題歌いいよね~!」
「俺もあのドラマは見てる
ぶっさんがかっけぇんだよな」
ドラマの話に夢中になる2人、その姿にドッと出た汗が引いていく。
よ、よかった…いけた…
「わ、私、コーヒー買ってこようかな」
と言って慌てて席を立った。このままだとまた口が滑ってしまいそう。