第3章 大丈夫
「う、あ!」
「主人公名前!?」
大きな音と共に佳奈の私を呼ぶ声も聞こえたが、その時にはもう遅くて。
やってしまった。
生徒が繋いでる携帯充電器のコードに足が引っかかり、見事に転ける。
スカートじゃなくてよかった、と心の中でプラスに変換させてはみたものの。
「大丈夫ですか…?」
知らない子から手を差し伸べられ、ありがたくその手を借りてお礼を言った。
「あ、りがとうございます」
クスクスと笑い声が聞こえて羞恥心で体が熱くなるのを感じると、救いの女神が駆け寄って来る。
「ちょっと主人公名前!大丈夫!?
派手にやってくれるね!
佳奈にくれないかな、その派手さ!」
あはは、と目尻に涙を溜め笑う彼女に
「すべて差し上げます」
と言う私は恥ずかしさと佳奈が来てくれた安心と、よくわからない気持ちで喉の奥がツンとした。
「んふふ、よしよし。
あーもう、ズボン汚れたじゃん」
しゃがみこんで私のジーパンについたほこりをはたいてくれる彼女。
急に視線を感じて顔をあげると、少し遠くの席にいる彼と目が合った。
口をパクパクさせている彼のメッセージを読み取ろうと、少し体を動かすと「動かないで」と彼女に怒られる。
「すみません」と謝り、もう一度そちらに視線を送った。
だ
い
じょ
う
ぶ
?
『 大 丈 夫 ? 』