第21章 大切だったのは
私の肩に置かれている手に力が入っているのがわかる。
「やっぱり忘れられないんだ」
いま…なん、て
「もう誰を好きだなんてどうでもいいよ。
ずっと…好きだった、
主人公名前ちゃんのこと。
あの日、
翔君って呼んでくれた日からずっと」
彼の腕がもう一度私の背中に回る。
「…う、そ」
「…ほんと。こんな恥ずかしいこと
ジョーダンなんかで言えません」
抱かれるとこんなに翔くんが大きく感じる。
私がすっぽり埋まってしまうくらい大きな体。
「…翔くん、」
彼が私の頭に顎をのせる。
「はあい」
力の抜けたような彼の優しい、いつもの声。
またこんなに近くに感じるなんて。
「私もずっと…すき、…なの」
ずっとずっと、好きだった。
私も同じように手を回し、ぎゅっと力を入れて。