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君の声で

第21章 大切だったのは








今にも泣き出しそうなそんな表情に驚き、思わず手をとって人目につかない場所へ走った。




誰もいない場所で2人きりになって、デリカシーのない自分に後悔する。



「ご、ごめん…辛いこと言って…」



こんな顔、させたかった訳じゃないのに。

そのまま握った手を引いて抱きしめたかった。




なんで気づいてあげられなかったんだろう

なんで気づいたのがニノだったんだろう

後悔しても、もう遅い。




君に一番近いのは俺だった、はずなのに。









息を切らした君がこっちを見る。



「翔君!違うよ、全然違う」



さっきまでそこにいた泣きそうな君はもういなくて。




「私がずっと…ずっと好きだった人は
 三井君じゃないよ!なんでよ!ばか!」









初めて聞く君の怒ったような声に、言ってる意味がわからなくて。

混乱する脳内は「じゃあ…相手は誰なの」と問いかける。





はっ、とした君が我に返ったのか



「…あ、いや、…ごめんね、
 とにかく違うの
 私が、ずっと忘れられない人は」



冷静に自分を抑えるように呼吸を整えた。







違う。

本当は" 誰か "なんて事は
もうどうでもよくって。

大切なのは、そこじゃなくって。




「もう誰でもいいや…、」




君が" 誰 "を思うかじゃなくて。

" 俺がどう思っているのか" その気持ちを伝えないといけないんじゃないか、と。







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