第21章 大切だったのは
会場に着いて無意識に君を探している自分に「いやいや、まずは新郎新婦だろ」とツッコミを入れる。
ガーデンウエディングで、立食パーティーのようにゲストがあちらこちらに移動出来るらしい。
2人の姿を見つけてすぐに声をかけた。
「三井君、佳奈ちゃん!」
「お~!櫻井~!久しぶりだなあ!」
三井君は昔と変わらない爽やかな笑顔で俺をバグした。
「2人とも、おめでとう」
「翔様来てくれたんだあ~!ありがとう~」
「仕事、大丈夫なのか?」
「うん、終わらしてソッコー来た」
「も~お前のそういうとこ好き~!」
「あはは、何?新郎もう酔っ払ってね?」
「うん、慶太もう出来上がってるから」
と笑う2人は凄く幸せそうで。
自分もいつかこんな風に…なんて想像したりして。
…隣には、誰がいてくれるんだろう。
「あ、翔様、主人公名前ならあっち!」
タイミング良く君の名前を聞いて少し動揺した。
「あ、う、ん、行ってこよう、かな」
ニノから話を聞いて、会うのはこれが初めてだ。
あの日「翔ちゃんの場所、奪っていいの」とその質問をぶつけられたまま、俺は何故か彼女に連絡できずにいた。