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君の声で

第3章 大丈夫










同じ経済学部だから講義はほとんど一緒。車を降り、同じ教室へ走って向かう。

そして教室の前に着くと、私たちはいつものように一旦止まった。



「んじゃ、俺行くわ」

「うん、ほんとにありがとう
 今度お礼します」

「あはは、あなたじゃなくて
 おばさんがしてくれんでしょ?」



そう言って笑うと、何かを思い出したように笑顔を消す。



「俺すぐ仕事あっから
 帰りは送れないけど…」



ごめんね、の表情でこっちを見る彼に



「何を言いますか、頑張ってね」



と小さな拳を作って見せた。

おう、といつもの笑顔で私の頭に触れた彼が先に教室へ入り、暫くして私も反対の入り口から教室へ入る。










私たちが幼馴染であることは誰にも言ってない。

なぜならアイドルの幼馴染が女だなんてファンの子としては絶対いい気がしないし、彼は大学でも芸能人なわけで、女子生徒はそりゃもう大変。

彼の周りには必ず友達がいて女の子が近寄る隙もないけれど。

何かを隠すことの苦手な私は、友人も少なく、彼の友達とも一切関わりがないからそれは唯一の救いかもしれない。





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