第17章 始まった関係
「…ニノくんも怖いと思うことがある?」
「え?」
「私と同じ、思いをしたことがある…?」
真っ直ぐ私を見るその目に、なんとなく、そんな気がした。
「今も、忘れられない人が、いる?」
その質問に一瞬驚いたような表情に、眉を下げて「まいったな」と笑う。
「主人公名前ちゃんに
助けて欲しかったのは、俺の方だ」
その後、ゆっくりと「俺さ…、」と口を開いた彼が、私と同じ境遇の相手がいることを教えてくれた。
付き合っていたのは一般の女性で、行き違いも多く寂しい思いを沢山させた、と今もまだその人を思って震える声に泣きたいのを我慢した。
全部話してくれたあとに「ごめんね」と謝った彼。
「主人公名前ちゃんには上手くいってほしいんだ」
と切なそうに言う声に、また泣いてしまいそうになる。
「あなたがいてくれたら
俺も頑張れそうな気がするから」
そう言って私の隣で目をつむった。
いつの間にか小さな寝息をたてて、子供のように私の指を握って離さない。
その姿を見て、翔くんを想う気持ちとは違うけれど、愛しく思った、私と彼の不思議な関係。