第3章 case 1
雅紀「ほんとにほんとにほんとに俺のこと好きならさ、カズ。今から!今日から!僕と付き合って下さい!!」
包み込まれたままの手に、ぎゅっと力が込められた。
「べ、別に、いいけど?」
雅紀「本当に?!やったー!嬉しいよぉーっ!」
俺に抱きついてきて、そのままベッドにダイブする。
「えっ…っ?」
目にも止まらぬ早技で何が起こっているのか分からなかった。
ふと目線を下げて見ると、カチャカチャとベルトが抜き取られ、スラックスとパンツに手が掛けられていた。
「おい!」
雅紀「ん?何?」
何?じゃねえよ!
何でもう脱がせようとしてるんだよ?!
てか、手を止めろよ!
「今日から付き合うんだろ?」
雅紀「うん。そうだよ。だから、ね?」
「ね?じゃねえよ。エッチは、まだダメだ!」
納得いかないって顔してるな?
俺だってねー、25年生きてきて男好きになったのなんて初めてなんだぞ?
気持ちの整理くらいさせろや!
雅紀「なんでなんでなんで?好き同士になったら、えっち、シタいじゃーん♪」
「はぁ…お前は…」
シタいじゃん、はーと♡じゃねえよ!
あ、はーと♡は希望的観測と言うかなんと言うか…って、誰に言い訳してんだよ?俺は。恥ず。
「マジで、盛りすぎ!!中2かよ!」
雅紀「あ、それねー、よく言われる。なんでだろー?」
頭を捻りながら、不思議だね、なんて言っている。
こいつ、マジか?!
「俺のこと、本当に好きなら暫くエッチは禁止!」
雅紀「え~~~!(泣)」