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キミのとなりで【気象系BL】

第4章 日常



「カズ大丈夫?手洗いに行く?」

生田くんに掴まれた手を、今度は翔ちゃんが包み込むように握る。

翔ちゃんはきっと、俺が嫌なことを思い出してないか心配してくれてる。

ここは教室だし、翔ちゃんが一緒だし、さすがにこれくらい何ともないけど。

心配してくれる翔ちゃんの気持ちが嬉しい。

「大丈夫だよ。ありがと」

目を見てにっこり微笑んだら、翔ちゃんも笑顔を返してくれた。

「はいはい、朝からごちそうさま」

滝沢くんの少し呆れたような笑いを含んだ声が聞こえて。

何がごちそうさま?

聞き返そうとしたら

「俺はバイ菌か!?」

翔ちゃんのノートを必死に写しながらも、会話は聞いてたらしい生田くんが、恨めしそうにぼやいて。

みんなと一緒にまた笑った。



「翔サンキュー!」

ノートを写し終わった生田くんがふらっといなくなったと思ったら、紙パックのジュースを抱えて戻ってきた。

「感謝のキモチ」
「安っ!」

翔ちゃんは文句を言いつつ顔は笑ってる。

「はい、ニノも」

何故だか俺にも手渡されて

「え?なんで?」
「ニノのおかげで翔がノート見せてくれたから」
「俺なんかした?」

思い当たることがないんだけど。

「いいからいいから」

首を捻る俺の手に、生田くんが笑いながらジュースをのせてくれた。

「お前どさくさに紛れてまたカズの手触るな!」

何故かまた翔ちゃんが怒り出して、生田くんと何かギャーギャー言い合ってる。

仲良しだな。

俺には見せないような翔ちゃんの態度がちょっと羨ましい。

てのひらに乗っかったジュースをどうしていいか分からないでいたら

「くれるって言うんだから、気にせずもらっておけばいいんだよ」
「そうそう」

滝沢くんや今井くんがそう言ってくれた。

「···じゃあ···えと、ありがとう」
「どういたしまして」

お礼を言ったら爽やかな笑顔が返ってきた。


翔ちゃんと仲良くなってから、こうやってクラスメイトと話すことが増えた。

翔ちゃんは人気者だから、いつだって人が集まってくる。

その隣にいるから自然と俺もその輪の中に入ることになって。

最初は少し戸惑ったけど、みんな俺も前からの友だちみたいに接してくれて、いつの間にかニノって呼ばれるようになってた。

今までなかったけど、こうやってみんなでワイワイするのも楽しいかも。

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