第26章 お泊まり
-Sside-
「カズくん、絵本よんでー!」
「ダメ!カズくんは私とゲームするの!」
「もう!あんたたち、カズくんが困ってるじゃない!」
カズを取り合って喧嘩する俺の妹弟と、その真ん中で困ったように微笑むカズ。
「カズくん、こっちで私とお喋りしましょ」
「「お母さん、ずるい!!」」
喧嘩を仲裁すると見せかけて、ちゃっかりカズを独り占めしようとする母さん。
ギャーギャー騒がしいことこの上ない。
実は、今日はカズが初めてうちに泊まりに来てくれたんだけど。
この泊まりの話が決まった瞬間から、俺はそりゃあもう浮かれてて。
今日も朝から張り切って、自分の部屋だけじゃなく家中掃除してまわって。
カズが来るのを今か今かとソワソワ待ってたんだよ。
でも、カズを待ち構えてたのは俺だけじゃなかったんだ。
カズは何度かうちに遊びに来てるから、俺の家族とも面識があるんだけど。
妹も弟もめちゃくちゃカズに懐いてて。
母さんも可愛いカズのことを気に入ってて。
要はみんなカズのことが大好きで。
カズが来てから、もうずっとカズの奪い合い。
分かるよ?
カズは外見も中身も可愛いからさ。
みんな好きになっちゃうよね。
カズが俺の家族に受け入れられて、愛されてるのは単純に嬉しいよ。
でも声を大にして言いたい!!
カズは俺のなんだけど!!!!!