第23章 雪あそび
こんなに堂々とイチャついてるのに付き合ってないんだもんな…
なんかこの2人を見てるとゴチャゴチャ考えてる自分がバカらしくなってくる。
付き合ってないのに抱き合ってるのに比べたら、手を握るくらい何でもないか。
そう思えたらふっと肩の力が抜けた。
悩むのをやめて、心のままに智の手を掴む。
智はびっくりしたように目を見開いて固まったけど、おかげで振り払われることもなかった。
「うわっ、冷た!」
智の手は思っていた以上に冷たくて氷みたいで。
その手を両手で包み込んでそこに息を吹きかける。
ただあっためてやりたい一心だったんだけど
「じ…潤っ…」
焦ったような声に顔を上げたら、智が真っ赤になって目を潤ませていて。
急に自分のしたことが恥ずかしくなって、智と同じように顔が赤くなるのが分かった。
でも智も恥ずかしがってるだけで、嫌がってはなさそうだったから。
「ほら!教室戻るぞ!」
智の手をしっかり握って歩き出す。
「……///」
智は無言だったけど、抵抗しないで付いて来てくれた。
それがすごく嬉しい。
翔とニノがずっとニヤニヤしながら見てるのは気付いてたけど、でもニヤついてる2人だってしっかり手を繋いでいて。
自分たちのこと棚に上げすぎだろって思うから無視だ、無視。
俺は寒いのが苦手で。
雪なんて大嫌いだったけど。
可愛くはしゃぐ智を見れて。
こうやって手を繋ぐ口実も出来て。
雪っていいもんかもしれない…なんて。
また降らないかな…
てるてる坊主を逆さに吊るして雪を願うか?
子どもみたいなことを考えて笑いがこみ上げる。
大量の雪うさぎに見送られながら、少しずつ熱を取り戻してきた智の手を引いて。
自然と綻ぶ頰もそのままに教室へ戻った。
end