第22章 カラオケ
ーAsideー
いやいや、翔くんのこと笑ってたけどさ。
潤だって大概だよね。
甘ーい声で甘ーいラブソング歌ってるけど。
完全に智を見つめて歌っちゃってるじゃん。
智もさ、さっきのニノに負けないくらい目をハートにして、ほっぺたピンクにして。
十分恋する乙女の顔してるよ。
そんな2人を今度はニノと翔くんがニヤニヤしながら眺めてる。
もうおかしくて堪らない。
自分たちのことは全然自覚ないのに、人のことはよく見てるんだから。
俺もいつの間にかにやけてたんだろう。
「なに1人でにやけてんの?キモいよ?」
ニノがスーッと近付いて来たと思ったら、そんな可愛くないことを言う。
「ひっど!自分だってにやけてたじゃん!」
「え〜、だって〜…あんなの見たら…ねぇ?」
ニノは智たちに視線を向けると、またニヤニヤしだした。
「ほら!ニノだってキモいじゃん!」
「俺はいいんです〜」
「なら俺だっていいだろ!」
「雅紀はだめ」
「なんでだよ!」
そのまま口げんかになってギャーギャー言い合ってたら
「何でケンカしてんの?」
潤の歌を聞き終わった智が不思議そうにこっちを見る。
「智!雅紀が〜…」
「いや、ニノがさ…」
我先にと智に言いつけ合う俺たちを
「あいつら仲良いよな」
「本当にね。羨ましいくらい」
翔くんと潤が笑いながら見てるのが視界の隅っこに映った。
愛に溢れたこの空間がとても愛おしい。
そこにはちゃんと俺への友情も含まれてるって分かってる。
ニノが絡みに来たのも、俺が1人にならないようにっていうニノの優しさだろう。
俺の想いはまだどうすることも出来てないけど。
俺の大切な人たちが、みんな笑顔で幸せそうで。
それだけで俺も幸せだから。
ずっとずっとこのままで居たい。
みんなの笑顔を見ながら、強くそう思った。
end