第20章 想い届く
俺の作戦も目的も雅紀と同じ。
翔に危機感を抱かせて告白させるという、至ってシンプルなもの。
ただ雅紀と違うのは、その危機を実際に目に見える形で翔に突き付けたってこと。
自分のいた場所にほかの男が立つのを見るとどんな気持ちになるのか。
それをただ黙って見ているなんてことが出来るのか。
ニノを失うということは、どういうことなのか…
実際に見せつけて、イマイチ理解していないであろう翔に実感を持たせたかった。
それが現実になる前に。
でもそれは智はもちろん、俺や雅紀がやっても効果は期待できない。
相手役は翔が意識していない、警戒もしていないやつがいい。
出来ればニノとの距離が近いクラスメイトも避けたい。
ニノに変な気持ちを抱いてるやつは論外。
信頼できて、かつ、この計画に乗ってくれる…そんな条件に合う人物なんてほとんど思い当たらなくて。
というか、中丸しかいなくて。
一か八かで頼んでみたら、中丸は二つ返事で引き受けてくれた。
もちろん、俺のやろうとしてることは包み隠さず全部伝えた。
中丸には何の得もない。
こちらの都合ばかりを押し付ける身勝手なお願い。
どう考えても当て馬にしかならない役割。
そこまで伝えても中丸は嫌な顔ひとつせずに、やると言ってくれた。
本当に感謝しかない。