第19章 勘違い
-Nside-
「ニノが悲しい思いしてる時に俺だけ幸せになんてなれないよ」
智の言葉に頭を殴られたようなショックを受けた。
「俺のせい…?」
何かを考えるより先に涙が溢れてきた。
俺、本当に邪魔してたんじゃん…
智たちの邪魔はしないように、智に甘えるのもやめようって決めたばっかだったけど。
全然遅かったんだ。
「ごめん、ごめんね…ごめんなさい…」
何度謝ったって足りない。
俺、自分のことばっかりで周りが何も見えてなかったんだ。
俺が俺の大切な人たちの幸せを妨害してたんだ。
「ごめっ…」
涙のせいでまともに謝ることさえ出来なくて。
そんな自分が情けなくて、また新しい涙が出てくる。
「ニノっ、ごめん!ニノのせいじゃないよ!ニノは何も悪くない!」
智が必死な顔で慰めてくれる。
俺のことぎゅっと抱き締めてくれる。
ダメだよ、やめて。
俺なんかに優しくしないで。
もらうばっかで、俺は何も返せない。
それどころか幸せを奪ってしまう。
友だち失格だよ…
もう俺、智の親友だって言えないよ…
「俺…もう…智の友だちやめるっ…」
「え!?」
みっともなくしゃくり上げながらの宣言。
でも智にはちゃんと聞こえたと思う。
もう心も体もボロボロだけど、最後の力を振り絞って立ち上がった。
智が呆然と俺を見上げる。
本当にごめん。
「智はちゃんと潤くんと幸せになってね」
涙でぐちゃぐちゃの顔だけど、最後は笑顔で伝えた。
今度こそ家に帰ろう。
もう走る力はないから、ゆっくり歩いて。
ごめんね、智…大好きだよ。
幸せになってね。
智はもう追い掛けて来なかった。