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キミのとなりで【気象系BL】

第18章 バレンタイン



ニノはすがるように智を見る。

「智も知ってた?」
「イヤ…シラナイデス…」

おい!
なんだその誰がどう聞いても嘘だって分かる返事は。

当然ニノがそんなのに騙されるわけなくて。

「俺だけ知らなかった?」

傷付いたように呟くと、その瞳から涙がポロポロと溢れ落ちた。

「ニノっ…」

智が慌てて拭ってやるけど、ニノは項垂れてしまう。

慌ててニノの肩を抱く智に目で助けを求められて。

仕方ねぇなぁ…

ニノの正面に立って、その頬に手を添えて無理やり顔を上げさせた。

「なぁ、ニノ。俺たちもさ、翔から聞いたわけじゃないんだよ。知ってるというより見てて気付いただけ」

目を見て言い聞かせるように話すとニノは瞳を揺らして

「教えてやりたいけど、翔が言わないでいることを俺たちが勝手に言えないから。ごめんな」

小さく首を振るとまた涙が溢れた。

それを拭ってやってたら

「潤…お前何してんだ?」

地を這うような低ーい翔の声が耳元で響いた。

気付けば真後ろに翔が立っていて、俺を射殺しそうな目で睨んでる。

怖えって!!
なんつータイミングで戻ってくんだよ。

俺の手はまだニノの頬に添えられたままで。

「翔、勘違いすんなよ?」

すぐに手を離すとニノは自分で目元をごしごし擦った。

「翔ちゃん、何でもないから!」
「でも…」
「本当に!何でもないの!」

ニノが笑顔を作る。

まだ目は真っ赤だし、涙だって止まりきってない。

どう見たって何でもないわけない。

でもニノの目がそれ以上聞くなと言っていて、翔も黙るしかないみたいだった。

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