第17章 誕生祝い to SHO
ま、スケートはね…
思ってたのと全然違ったけどね…
まさか自分がこんなに滑れないとは思ってなくて。
カズにカッコいいところを見せるどころか、情けない姿しか晒せなかった気がする。
完全にスケートを甘くみてた。
スキーと全然違うし。
でも、結果的には1日中カズと手を繋いでいることが出来たから。
カズがスケート上手くて良かったよ、マジで。
…なんて。
強がりでも何でもなくそんな風に考えることが出来てる自分にちょっと驚く。
だってさ、本当は好きな子の前ではいつでもカッコつけてたいし。
カッコ悪い姿なんて、出来れば見せたくない。
でも俺がどんなにカッコ悪くても、カズが笑って隣にいてくれるなら。
どんなに情けない姿を晒したって、そのおかげでカズと手を繋いで過ごせるなら。
それでいいやって。
カッコつけるより、そっちの方が何倍も大切で幸せだって。
そう考えられる自分も悪くないなって思う。
カズを好きになったから気付けた自分だから。
「さすがに疲れたね」
「もらったカフェチケット使って何か食べに行くか?」
「行く!腹減ったー!」
「その後は歩いてイルミネーション見に行こうよ」
「うん♡見たい♡」
リンクから出てスケート靴を返して。
5人でわちゃわちゃと喋りながら、またそっとカズの手を握る。
カズは俺を見るとふわっと微笑んで、何も言わずにきゅっと握り返してくれた。
それだけで俺はものすごく幸せな気持ちになるけど。
カズだけじゃない。
この幸せは黙って見守ってくれている3人のおかげでもあるんだ。
この5人で過ごせる穏やかな時間に感謝して。
いつまでもこんな時間が続きますようにと、心の中で強く強く願った。