第16章 正月
ーNsideー
「明けましておめでとう、カズ」
「あけましておめでとう、翔ちゃん」
「今年もどうぞよろしくね」
「こちらこそよろしくね」
翔ちゃんと笑顔で新年の挨拶を交わす。
ああ、なんて素敵な1年の始まりなんだろう///
今年は年が変わるちょっと前から翔ちゃんとビデオ通話でお喋りしてて。
年越しの瞬間を翔ちゃんと迎えられた。
贅沢を言えば、電話じゃなくて実際に一緒に居れたらいいのになって思っちゃうけど。
画面越しでも翔ちゃんの顔を見ながら年越しできたんだから、これ以上を望んだらバチが当たっちゃうか。
年が明けた後もまたお喋りして。
寝るのが遅くなっちゃったから、お正月でいつもよりゆっくりな朝でも眠くて仕方ない。
それでも、お正月は家族揃って母さんお手製のお節とお雑煮を食べて、お年玉をもらって…って言うのが毎年のお約束だからちゃんと起きて参加して。
お腹いっぱいになってコタツに寝転んだら、そのまま寝ちゃってたみたい。
「カズー!みんなと初詣行くって言ってなかった?」
「んぅ…行く…今何時…?」
姉ちゃんに起こされても、まだ半分寝ぼけてて。
確かに今日はみんなと一緒に初詣に行く約束してるけど午後だもん…なんて油断もあって。
でも姉ちゃんに時間を教えてもらって、一瞬で目が覚めた。
ヤバい!!待ち合わせまで30分切ってる!!
「遅刻しちゃう!」
「洋服出しといてあげるから、顔洗ってきなさい」
飛び起きて焦る俺に、姉ちゃんが冷静に声を掛けてくれた。