第15章 誕生祝い to MASAKI
「お前こそどうなんだよ?智くんとデートするつもりだったのか?」
心の中で感心していたら、翔から同じ質問が返ってきた。
そりゃそうか。
軽い気持ちで聞いてみたけど、こんな質問したらそりゃそのまんま跳ね返ってくるよな。
「いや…できねーだろ…」
考えるまでもなく俺の答えも翔と一緒で。
翔は、ほらみろと言わんばかりの顔をする。
きっと、お前も同じじゃないかって思ってるんだろう。
翔たちと俺たちとでは関係が違うから全然同じではないんだけど。
まぁ、両想いだって気付いてない翔からしたら同じか。
「まぁ、智が絵を描くようなら俺も美術室に行ったけど…祝日だからそれもなかっただろうな」
口に出してみて、改めて気付く。
翔たちは街の図書館でも家でも会えただろう。
でも俺は絵を見たいってだけで休日に智の家まで押しかけるなんて出来ないし。
そりゃ何かしら口実作れば会えたかもしれないけど。
断られたら…とか、引かれたら…とか、そんなことを考えてしまったらもう無理で。
自分の臆病さに笑いたくなる。
「雅紀はなんか申し訳なさそうな顔してたけどさ…」
誕生日の話をしながら、ずっとどこか申し訳なさそうな顔をしてた雅紀を思い出す。
自分の誕生日よりも俺たちのクリスマスの心配を先にしてしまう優しい雅紀。
自分だってニノのことが好きなのに…
そんな雅紀にあんな顔をさせて申し訳ないのはこっちの方だ。
「雅紀のおかげで今日も智と会えるんだから… むしろ感謝だよ」
俺の言葉に翔も優しく笑って頷いた。