第14章 誕生祝い to SATOSHI
「俺は本当に智と2人でいたいと思ってる。信じてくれる?」
言い訳なんて聞きたくないって思ってたのに、潤の言葉はすーっと俺の中に入ってきて。
素直に頷くことが出来た。
「ありがとう」
潤は掴んでいた手を離したと思ったら、しっかり手を繋ぎ直して。
「本当にごめん」
また謝られた。
ぎゅっと握られた手からも“ごめん”って気持ちが流れ込んでくるみたい。
「もういいよ」
「うん…」
潤の凛々しい眉毛が下がっちゃってて。
なんか情けない顔してる。
もう十分謝ってくれたんだから気にしなくていいのに。
謝罪だけじゃなくてさ、俺を幸せにしてくれる言葉もいっぱいくれて。
さっきの悲しさを引いてもお釣りがくるくらいだよ。
俺、まだ怒ってるみたいな顔してるの?
せっかくの2人の時間だから、笑顔で楽しく過ごしたいって思うのは、それもワガママかな?
「じゃあ後でダンゴムシもう一匹!それで許してあげる!」
「えっ!?」
潤は驚いた顔をして俺をマジマジと見た。
「いいでしょ?」
本当に全然怒ってないけど、それで分かりやすく仲直りしようよ。
「もちろん!一匹でも十匹でも!」
「いや、そんなにはいらね」
「なんだよ…」
勢いよく言われたのを、あっさり断ったら潤が拗ねた。
「ふはっ…拗ねてる」
「拗ねてねーよ!」
思わず笑ったら、こつんって痛くないゲンコツがふってきて。
「ふふふ」
潤がいつもの調子に戻ったのが嬉しくて笑いが止まらない。
「ほら!もう行くぞ!」
わざと怒ったみたいな声を出す潤も顔は笑ってて。
手を繋いで夜景を見る間も2人でずっと笑ってて。
すごく幸せであったかい気持ちで1日を終えることが出来た。
最後に、約束通りもう一匹ダンゴムシをプレゼントしてもらうのを見たニノがまた悲鳴をあげたのも良い思い出。