第12章 文化祭

「無理しなくていいよ」
「無理なんてしてないよ！」
「…だって翔ちゃん、すごい怒った顔してたもん。俺がワガママだから…俺のせいで表がいいのに裏になっちゃったから…だから怒ったんでしょ？」
「は？カズがワガママだなんて全く思ってないし、怒ってもないし…カズ何言ってるの？」

翔ちゃんはキョトンとしてるけど、絶対嘘！
さっき怒ってたもん！

「ニノ、翔が怒ったのはニノにじゃないから。俺たちにだから」

なんだか納得いかずにいたら、斗真がそんなことを言い出した。

「なんで？斗真は代わってくれただけだよ？怒るわけないじゃん」
「いや、翔の怒りのポイントはそこじゃなくてさ」
「？？？」

また言ってる意味がよく分からない。

「あー、でもある意味ニノにも怒ってるのかもな」
「全然分かんない！はっきり言ってよ！」

タッキーまでなんだかまわりくどい言い方をするから、ちょっとイラッとしちゃったら

「翔以外の男に気安く抱きつくなってこと」

斗真にビシッと指を突きつけられた。

え…？
どういうこと？

翔ちゃんは何やら気まずそうに視線を泳がせてる。

え…？
翔ちゃんは本当にそれが理由で怒ってたの？

「………だって、タッキーと斗真だよ？」
「それは俺たちは喜んでいいのか？悲しむべきなのか？」

タッキーも斗真もなんとも言えない顔をしてたけど

「喜ぶも悲しむもないよ。タッキーはタッキー、斗真は斗真。クラスメイトで大切な友だちで、それ以上でもそれ以下でもないもん」

はっきり宣言したら、面白そうに笑い出して。

「だってさ！当然、俺たちだって同じだよ。ニノはクラスメイトで大切な友だちで、それ以上でもそれ以下でもない」
「安心したか？ちょっとは俺たちを信用しろよ」

両脇から翔ちゃんの肩をポンと叩いてた。